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自作LCARSコンソールの制作方法の紹介です。タッチパッドとバックライト点灯式パネルを作りました。ぜひあなたも一枚いかがですか?
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きっかけは...
作ろうと実際に行動するきっかけになったのは、Japan Mix社「スタートレック大研究4」という本の 136 ページに、以下のような記述があったからです。
・・・それらのイメージを透明フィルムの上に黒を背景に白で描き、舞台用の照明フィルターとして使われる色付きプラスチック・フィルム(「ジェル」という名で知られる)で透明部分を埋めた。そして簡単な構成のライトで光を後ろから当てると、これが実にクッキリした、最先端っぽいコンピューター・イメージに見える・・・
「なんか簡単に作れそうだな」 と読んだ瞬間にビビビっと来ました。 前々からLCARSパネルを作ろうとは考えていましたが、この本の一節を見なかったら考えているだけで、ただ想像しているだけだったでしょう。運命的な出会い!?
考察
資料本、ビデオをよく観察してみると、使われているコントロールパネルには、と、バックライトを使わない簡易型の物と、バックライトを当てて光らすタイプの物の 2 種類ある事が分かります。
- 簡易型
各ドア脇のアクセスパッド、ターボリフト入り口横のパッド、デスク上にあるパッド等、比較的小型のタッチパッドに使われています。
- バックライト式
全般的に使われているコンソール&ディスプレイパネルです。チカチカ点滅してたりしますよね。無意味に。
まずは試作してみる...
試作1
- 表面を透明アクリル板で覆う。
- 色付きのアクリル板を表側から接着剤でくっつける。
- 光るところになる部分は裏側から白色で塗装する(裏からの透け防止)。
- 黒の部分は表側から黒色で塗装する。
実際に試作してみると、この方法では以下の問題点が見つかりました。
- 光る部分のアクリル板を表から貼ったので厚みが出て見苦しい。
- 表側から光る部分を貼る時に周囲に接着剤がはみ出てしまい黒色の塗装がとけて汚くなる。
- 接着剤が流れてきれいに透明にならず、光る部分がきれいにならない。
- 表側から黒色を塗ったので、黒色の部分がザラザラしてツヤが無い。
よって、この案を破棄。
試作2
- 黒色の部分は裏側から塗ったので試作 1 の問題点 4 番目を解決。
- 色付きの塩ビ板を裏側から貼る。 よって試作 1 の問題点 1 を解決。
- 色付き塩ビ板の裏側は白色に塗る。
実際に試作してみると、この方法では以下の問題点が見つかりました。
- 光る部分がやはりきれいに貼りつけられず。どうしても気泡が目立ち汚い。
- 後ろからバックライトを点けてみると、黒色の部分が薄くて透けてしまう。後で、後部全面を白色を上から重ねて塗ると少しましになる。 これは、黒色を何回も重ね塗りすればいいのかもしれない。
- 光る部分がきちんと合わないので黒色の部分との隙間があいている。 対処法 → 光る部分の板を大きめに切り出せば解決する。
あと少し!
試作3
- 黒部は裏から塗装。 注意!マスクの印刷は左右反転して印刷すること。
- 色付きアクリル板の裏は白色で塗装。
- 光る部分は裏から周囲を木工用ボンドで接着する。 これにより接着剤の有機溶剤でせっかく黒く塗った部分が溶け出して汚くならずに済む。
これでほぼ実用形に近い仕上がりになる。
- 2ミリ厚のアクリル板
- これがパネル本体になります。これくらいの厚みが適当かと思います。あまり厚いと切り出しが大変です。
- つや消しブラックのスプレー
- ボタン部分以外の周りの黒い部分を塗るためです。
- つや消しホワイトのスプレー
- これはボタンパーツの裏側を白色に塗るためのものです。
- ボタン部分用エンビ板0.5ミリ厚 各色
- この塩ビ板は、Hikari ユニサンデーエンビシートシリーズという物で、どこのホームセンターにも売ってあると思います。 450mm X 600mm が \670、300mm X 450mm が \360 位です。最初アクリル板を探したのですが、無かったのでエンビ板にしました。 私が買ったのは、アイボリー、パステル・ブルー、パステル・バイオレット、乳白半透明、黄色、青、オレンジ透明、赤、ブルー透明です。
- 再はく離タイプのラベル用紙 A4 サイズ
- これをパネル本体に貼り、黒い部分以外の所のマスクに使います。 再はく離タイプじゃないとマスクをはがす時苦労するだけではなく、粘着物が残ってきれいに仕上がりません。
- インクジェットプリンタ用 OHP フィルム
- フィルムの厚みは薄いほうがいいです。 私が使ったのは 0.1mm 厚の物です。 これは何に使うかというと、ボタンに表示されている文字を表現するためです。 色々試した結果、これがなかなかいい感じに出来ました。 使い方は後ほど。
- ドロー系のグラフィックソフト
- ドロー系のソフトで何に使うかというと、パネルのいわゆる光らせる部分のマスクに使います。なんでも構いません。
- プリンター
- 普通のA4プリンター。
- その他
- カッターや定規等、普通の工作程度の事に使うモノは用意しておきたいですね。それと接着には木工ボンドを使います。 本来はその名のとおり木材同士を接着するものですが、有機溶剤入りの普通の接着剤だと塗装が解けてしまうのでこれにします。 エンビ板同士の接着でもそんなに手荒に扱わなければ剥がれることは無いです。
いざ製作開始!
寸法を計測する
各サイズを割り出す。資料を見てパネルサイズ及びボタンの各サイズを推測。 パネルの大きさ 195mm X 80mm、ボタン一つの大きさは高さ 13mm で詳細は左図を見てください。
パネル大の切り出し・加工
パネル本体になるアクリルパネルを切り出し、紙やすりなどを使って丁寧に角を丸めます。
マスクをプリントする
- ドローソフトでパネルのデザインを実寸サイズで書きます。
- それをプリンターでラベル用紙に印刷するのですが、印刷の際に左右逆転して印刷してください。このマスクはパネル本体の裏側に貼るので、表から見たら左右逆になって使えなくなります。(本人失敗済み)
- 印刷したものをパネルの裏側にきれいに位置合わせして貼りつけます。
- さて、これからちょっと根気が要る作業です。
- 今貼りつけたマスクのパネルのデザインで黒色にする所、つまりボタン部分とバックライトの光を透過させる部分以外をカッターできれいにはがします。
ここまでで半分
ここまで出来たら半分は出来たようなもの。パネル裏側をつや消しブラックで塗りつぶします。 この時、一応念のため塗料が回らないようにパネルの表側をマスキングしておきます。
2度塗りしたほうが、黒色の部分が光が透過しなくなるのでいいです。ただし、あまりやりすぎるとせっかくのマスクが剥がれてきて塗料が表面の見えるところに回ってしまうのでほどほどに。
ボタン
塗装が乾く間に、ボタン部分&バックライト透過部分の製作です。 各色のエンビ板をパネル本体のボタン部分より少し大きく切り出しましょう。 このようにたとえ数字部分でもかたい塩ビ版を切り出す必要も無く、ただ長方形にして貼りつければいいのです。
ボタン上の文字
次に、ボタン上の文字を作成しましょう。 普通のグラフィックソフトにてサイズを調整して文字を描き、これも左右反転して OHP フィルムに印刷します。 文字サイズは実際に印刷して何度もプリント&トライしてください。
それから、OHP フィルムには印刷面と裏面があるので注意しましょう(本人失敗済み)。 各ボタンの文字列ですが、上記の資料によると |JA TAY| という様な |2_3| 文字という構成になっているみたいです。 これは結構でたらめで、雰囲気だけです。 自分のフィーリングで勝手にでっち上げてしまいましょう。 私の場合は |LO TNG| , |CA TOS| , |LI CIA| という様にしゃれで作っています。
マスクを剥がしてみると...
さぁ、塗装が乾いた頃でしょう。マスキングをはがします。 この作業が一番楽しいところでもあります。 再はく離タイプの用紙を使ったので、するすると簡単にはがすことができます。
全部はがしてしまうと、まだボタン部分に色のついていない透明なコントロールパネルの出来上がり! ここで、ボタン部分に塗料が入り込んできているところはシンナーをつけた綿棒、つまようじ等でちょちょいと取るとよいでしょう。
ボタン上の文字
次にボタン部分の文字をパネルに貼りつける作業です。 まず OHP シートに印刷した各文字列をぎりぎりで切り出します。 そして印刷した面の裏に、木工用ボンドを水で薄く溶いた物でパネル本体の裏から貼りつけます。 こうする事によって印刷面を接着面にしない様にして、印刷した文字がにじむのを防くというわけです。
接着してパネル表側から見ると、パネル本体と文字との間が白くなっていますが、木工ボンドは乾くと透明になるので気にせずどんどんくっつけていきましょう。 この接着剤の濃度は、あまり薄すぎるとすぐはがれてしまうし、濃いとボンドが乾いた時に、透明にならず見苦しくなります。 いろいろやってみて、一番いい水と木工ボンドとの比率を探してください。
パネル裏側からボタンパーツを接着...
今度はボタンパーツをパネルに接着します。 位置を合わせてずれないよう手で押さえながら、木工ボンドでパーツの 4 隅に先の細いもので丁寧に接着していきます。 なぜ 4 隅にしかつけないかというと、全周にボンドを付けると裏側までボンドが回り込み、表から見ると見苦しくなるからです(この写真は大パネルのほうです)。
ボタンパーツ接着完了!
全部貼り終わるとこんな感じになります。 裏側は雑然としていますが、それを引っくり返して表側から見ると・・・
ほら!この通り!!
もう一度おさらい
パネル断面の各パーツの配置関係はこんな感じに。
なお、バックライトは市販の単 3 電池 4 本程度で光る懐中電灯型?の蛍光灯を利用するといいです。 これをバラして蛍光灯と点灯回路部分を丁寧に取りだして使用してみてください。
また、パネルとバックライトを収めるボックスを作るといいと思います。 私もその部分まで作ったのですが壊してしまいました。
そして完成へ
さぁ、これで完成!! あとは壁に貼りつけるなり、机の上に貼りつけてコントロールしている気分に浸ったりして遊びましょう?!
これはエピソード中のキャプチャ画像なんかではありません。今回自作したコンソールと私の手です。こんなのが作れるんですよ。
部屋を暗くしてバックライト点灯すると非常に美しいです! |