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プロジェクト開始この自作シリーズも今回で第 5 作目となります。 より完成形を目指すため実験も含めて最初に仕様その他を以下の通りに決めました。
以下、順を追って製作記をお送りします。 イラストレーター起動まずはイラストレーターにてこれから製作する LCARS パネルレイアウトを描いていきます。
LCARS ボタン上の XX XXX の文字は適当にそれらしく!ジョークも交えて入れると面白い(自分のイニシャルとか)。 今回、上記の仕様 4. により、下側のパネルは A4 用紙 2 枚サイズに分割されています。 左右 2枚のつなぎ目部分は何もない黒バックの所にくるよう調整します。 印刷の設定はプリンタドライバ側で “フチなし全面印刷(メーカーによって呼称が違うかも)” 、はみ出し量最少、“鏡像印刷” で出力するようにします。
VOY 第 79 話 "Concerning Flight" 「宇宙を飛んだダ・ヴィンチ」より。 たったこんなモノでも描くのに延べ 3 日は掛ってたりします。 LCARS パネルの構造前 4 作目はバックプリントフィルムというキャノン製の特殊なインクジェットプリンタ用紙を使いましたが、残念ながら最近は入手困難になってきています。 この用紙の有用性は前作で証明されましたが、実物のオクダグラムは透明フィルムに印刷したものが使われているので、普通のインクジェット用 OHP フィルムが使えれば製作性はグンと上がります。
なぜ OHP フィルムが使えなかったの?透明な OHP フィルムに LCARS をプリンタで印刷し、それをバックライトで当てて見るとライトが透けてしまいます。 色付きセロファンを前面に貼った舞台照明装置を思い出してみてください。 セロファンを通して光源が丸見えでしょう? バックライト点灯式のオクダグラムは、透けることなくきれいに全面に光を当てないといけません。 いろいろ調べた結果、下図のような 3 層のパネル構造になっている事が分かりました。
今回は一番下に [2] の拡散層として半透明の乳白色パネルを入れるところが“ミソ”です。 液晶ディスプレイを分解したことがある人は分かると思いますが、バックライトと液晶パネルの間にはこれと同じ役目をする乳白色のシートが入っていますね。 これを使うと光源が丸見えにならず、またバックライトが全面に均一に透過するようになるので、入手性のよい OHP フィルムが問題なく使えるようになります。 実験 1. OHP フィルムに印刷してみる本当にそうなのかちょっと実験してみました。
前回この用紙をべた褒めでしたが、正直言って色が若干にじんでエッジが鮮明じゃないという欠点があります。 さて、次にインクジェットプリンタ用 OHP フィルムに印刷してみます。 まず最初に、画面上見えるオクダグラムは “バックライトに照らされた結果の色”であり、バックライトが OFF の時は完全にブラックアウトするので、元々色を薄く印刷しているのではないだろうか? そう思ったので、イラストレーター上で各色の透明度の設定を 60%にしてフィルムにプリントアウトしてみました。 あまりに透明過ぎですね。 ほとんど色が付いていない感じです。 ということで、これは却下。 次にイラストレーター上で描いたものをそのままプリントアウトしてみました。 素直に描いたものをjプリントアウトすればいいようですね。 乳白色パネルを下に重ねて下からライトを当ててみました。 さあ、本物と同じように印刷したフィルムが使えることが分かった以上、製作意欲も湧いてくるというものです! 実験 2. 点滅ボタンの構造今作でもうひとつ本物を目指すために必要なものがあります。 それは点滅するボタン! コンソール上のいろんな場所の LCARS ボタンがランダムで点滅していますが、あれがあるとないとでは雰囲気が違います。 ということで、これに関しては以下の図のような構造を考えました。 まず丁度ボタンを覆う大きさのボックスを作ります。 その中に LED を仕込んで、それを下層の乳白色パネルに貼り付けます。 バックライトで照らしていると全体にオクダグラムが浮き上がるのですが、LCARS ボタンの部分をボックスで覆っていると、当然その部分はライトが当たることはなく暗いまま。つまり LED を点滅させると、ボタンが消えたり点いたりするアレが実現できるわけです。 材料購入今回はコンソール台も作るということで、だいたいの設計図を書き、必要な材料をだいたいピックアップして、近所のホームセンターで揃えます。
足らない時は随時買いに走るということで。
一般的な砲弾型だと照射角度が狭くなり、角丸のボタン中心に光が集中してしまうと思ったので、あえて広角型のこいつを選びました。
モノは秋月電子通商の通販を利用。 昔からここにある “冷陰極管+インバータセット”を 2 セット購入。 15cm級冷陰極管+インバータセット: 完成品ユニット・測定器 秋月電子通商 電子部品 ネット通販カタログ
フィルムをカットする 1.さぁ、いよいよ製作開始です。 直線部分はカッターと定規を使います。
以後、これを “上側パネル” と呼びます。 フィルムをカットする 2.
こっちを “下側パネル” と呼びます。 この上にスモーク板を重ねると、つなぎ目が分からなくなります。
このように A4 サイズプリンタでも縦横何枚か重ねれば、いくらでも大きいパネルが作れると思います。 背面パネル・前面パネルの切り出し 1.フィルムの下になる下層の乳白色パネルと前面の半透明スモークパネルの切り出しを行います。
ということで、フィルムと同じサイズの枠をイラストレーターで描きそれをプリントアウト。 それを乳白色パネルにテープで貼り付け型紙にしてカットしていきます。
角丸の部分は紙やすりで削って仕上げましょう。 キズ防止のために貼ってある表面の紙ですが、作業が最後まで終わるまで剥がさないようにします。 この“ツヤ”がたまりません。。。 背面パネル・前面パネルの切り出し 2.
上側と同じように型紙をアクリル板に貼り付けカットしていきます。
直線部分は最初にカッターで線を入れ、アクリル板カッターで何度もスジ目を入れてカットします。 厚みが 2mm なので、あせって切ろうとすると失敗して割れてしまいます。 厚みのあるアクリル板をカットするときは、カッターの刃を定規に合わせて何度も何度も引きます。裏側からもしっかりとスジ目を入れましょう。 次に机の角などにカットする部分を当て、上から軽く押さえるとケガキ線に沿ってパキっときれいにカットすることができます。
ガワの製作使うのは 3mm 厚のスチレンボードという低発泡スチロールの一種です。 発泡スチロールの一種とはいうもののプラスチックのように硬く、カッターで簡単に切ることが出来るというすぐれモノで、自作派にとっては非常に便利な素材です。 詳しくはこちらで → アクリルサンデー株式会社
切り抜いたら切り口をヤスリでならしておくと良いでしょう。 紙ヤスリで削れるのもこの素材の良いところの一つです。
右画像のような感じで裏側にパーツをくっ付けていくわけです。
くり抜いた真ん中の部分を再利用しているので、一枚ではなく繋ぎ合わせて使います。
パネルの接着
一番下の乳白色パネル、その上にオクダグラムフィルム、その上にスモーク透明アクリル板を重ねて接着していきます。
4 辺にベターっと貼る必要はなく、要所要所に貼っていけばいいでしょう。
次にこの 3 層をひと組として接着します。
写真では上側パネルで説明しましたが、下側パネルも同様に接着していきます。 ただし、パネルが大きく重いので細心の注意を払いましょう。 ガワにはめ込む先に作ったがわに前項の 3 層のパネルをはめ込んでみます。
最初にこの開口部は 3 層パネルのサイズより周囲 1mm だけ大きくしました。 そのままだと、当然パネルはゆるゆるで固定できません。 しかし、先ほどフチに盛り上げた接着剤により、この枠にピッタリと隙間なくはまり込むようになる、という寸法です。 よって、あくまでもここでの両面テープは、よりしっかりと固定するためのものだと思ってください。
ガワになるスチレンボードの厚みが 3mm、そこに 2mm のスモーク透明アクリル板と実質 0mm の透明フィルムと 1mm の乳白色パネルをはめ込むので、ガワとパネルはツライチになるという訳です。 やっと 「ここまで来たー!」 といった感じですね。 窓際に置いて日光のバックライトを通して見たのが下の写真です。 パネル部分はこれで完成です。 コンソールの製作
ここで CAD などを使うとカッコいいのでしょうが、使えませんでした。 私の場合、昔からこのような工作をやる場合、作る前に頭の中で完成形が出来あがっていて、現物合わせで作っていくタイプです。 実際この寸法通りではなかったりします。
このスチレンボードですが、このグレー色が宇宙艦のコンソールの地の色に近くて、塗装せずそのまま使えるのが良いですね。
その際、角の部分は内側にすべて補強のため、左写真のように補強版を入れていきました。 こうすることにより、かなり丈夫な作りになります。 パネルが台形ですので、コンソール台も同じ形になります。 真ん中にも補強版を入れています。 定規とカッターでまっすぐカットしたつもりでもズレていたりする(加工精度が悪いという)ので、ヤスリで削って現物合わせします。 接着剤で貼り合わせて、乾くまではセロファンテープや洗濯バサミなどでズレないよう固定しておきます。 背部パーツはこれからの作業のためにまだ開けておきます。 全ての角部分は紙やすりで削って丸みを付けたほうがいいでしょう。
拡大して見るとアチコチ隙間が見えると思いますが、これは仮止めの段階で撮影したためで、ホントはしっかり密着してるんです。 横 560 mm 奥行き 380 mm 高さ 200 mm という、かなりな大きさの仕上がりだと思います。
点滅回路&LCARS ボタン
LCARS ボタンの裏に貼り付ける BOX (点滅ユニット)を作っていきます。
それを接着剤で貼り合わせます。 1か所に電源コードを通すための小さい穴を開けておくのを忘れずに。 チップ LED にリード線をハンダ付け。
明るく結構広角に照らしてくれます。
別に “ホットボンド” などでも良いでしょう。 今回は LCARS ボタンを 2 つ点滅させるつもりなので、これを 2 個作ります。 出来あがった点滅ユニットを LCARS パネルの裏面から LCARS ボタンの位置に合わせて貼り付けるわけです。
これだと後で好きな位置に点滅ボタンを設定することができます。
左から半透明スモークアクリル板 - オクダグラムシート - 乳白色パネル − 点滅ユニットという構造。 点滅ユニットでLCARS ボタンを覆っているので、たとえバックライトが当たっていてもその部分は暗いまま、LED が光るとボタンを照らすという仕組みなのです。 何はともあれ点灯テストをしてみました。
LCARS ボタンだけが浮かび上がっています。
どうですか?なかなかイケてるのではないかと。 動画だともっと分かりやすいかと。 バックライトオフ状態で LED を点滅させてみたところです。
よし!これでいける! と確信しました。 電子回路を組むさて、この点滅ユニットが使い物になることが分かったので、今度はこれを点滅させる回路を作りましょ。 LED の点滅回路と言えば、非安定マルチバイブレーター。 2 個のトランジスタ &コンデンサと僅かな抵抗で 2 個の LED が交互に点滅するというアレです。 電子工作をやったことがある人ならば、一番最初に作ってみて感動を味わうという基本中の基本の電子回路ですね。 今回は基本を少しアレンジして回路を組みます。 定石にはない R5 と R6 という 1KΩ抵抗が LED と並列に入れてありますが、これがないと LED 点滅の “滅” の時に完全に消えません。 ダイオード D3 は逆接続防護用。 これは後で付け加えた部分です。
抵抗 1KΩ x 4、抵抗 22KΩ x 2、コンデンサ 100μF 16V x 2、トランジスタ 2SC1815 x 2 ずいぶんと基板に空きがありますが、これは将来の拡張のため。 と思っておいて下さい。 一応、外部へのリード線取り出しは、全て端子から行うようにしています。完成までもう少し! バックライトの組み込みバックライトを設置していきます。 当初は先に紹介したセット品の 15 センチのモノを使おうと思っていましたが、これがちょっと小さ過ぎました。 のちに廃棄品の 20 インチ液晶ディスプレイが手に入ったので分解、入っていた 40 センチの冷陰極管を使うことにします。 これがとてつもなく細いので、一体になっていたアルミ製の補強板?と共に取り出し、接着剤で両端を固定しました。
インバータ基板は両面テープで貼り付けちゃえ!
下側と同じように背面に直に付けるとパネルまでの距離が遠くなり暗くなるので、写真のようにかさ上げして取り付けます。
細々としたところバックライトのオン/オフ用(上下同時)と点滅のオン/オフ用です。
ということで、安易的にとりあえず昔電子工作で作った電源装置から取ることにします。
パネルを開けた時にそれっぽく見えるためのちょっとしたこだわりを入れてみます。 光ファイバーを手に入れたので、連邦の宇宙艦内のパネルを開けたときに見えるアレと同じように、光ファイバーを張り巡らせてみました! 3mm と 0.5mm のファイバー使用。 どうです、ホンモノっぽくなったでしょ?! それと、あともうひとつ大事なもの。 これこれ。パネル ID ラベルです。 これを前面と背面の 2 か所に貼り付けました。 このラベルはこちらのページにて配布してます。 良かったらどうぞ。 そして完成へついに完成! まずは LCARS コンソールの完成お披露目。 かなりしっかりした作りになっております。 バックライトオフとオン状態それぞれでの撮影です。 バックライトオフ状態でのパネル表面の反射がホンモノのようですね。 次に周りが暗い場所での様子です。 拡大してもらうと分かりますが、下側パネルのほうの 2 枚のフィルムを繋げた部分の隙間が見えますね。 ぴったりとくっ付けたつもりでしたが・・・。 近づいて見ていきましょう。 暗闇に浮かぶオクダグラムは非常に美しいですね。 このクッキリハッキリ感が良いです。 前作のバックプリントフィルムだとこうはいきません。 実際に手を置いて操作している風。 下側パネルのバックライトが若干青味がかっていますが、これはこれでいい味だしてます。 実際の動作風景は以下 3 本の動画でお楽しみください。
ちょっと効果音を付けて遊んでみました。
どうでしたか? パネル部分は簡単にハメ換えられるように作ったので、映画 『ジェネシス』 や 『ネメシス』 カラーの LCARS にすれば、各エンタープライズのコンソールにすることも可能です。 最終的にはこれにマイコンを組み込み、タッチセンサーを装着しボタンをタッチすると音を再生させ、外部に接続した機器を実際に操作できたりする、という夢は持っているのですが、いつ実現するのやら分かりません。 ひとまずこれでこの自作 LCARS パネル第 5 作目の紹介を終わります。 ここまで見ていただき有難うございました。 2009/06/29 To be Continue...? 最後に今回の制作に掛った部材と費用と期間。 スモーク透明アクリル板 2mm 厚
乳白色半透明アクリル板 1mm 厚
低発砲塩ビ板 3mm 厚(色:グレー)
以下ジャンク品 or 手持ち品のため 0 円
合計 11,048 円 + α 構想 2 年、製作期間 約 2 か月。 |
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