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概要LCARSLCARS とは Library Computer Access and Retrieval System(ライブラリー・コンピュータ・アクセス・リトリヴァル・システム)の頭文字を略したもので、24 世紀の惑星連邦の宇宙艦が採用しているコンピュータ・システムの事である。エルカースと読む。 日本語に訳すと“ライブラリー・コンピュータにアクセスし検索するシステム”というその名の通り、情報を蓄積していきそれを検索する時に最も威力を発揮する。
連邦宇宙艦にはコンピュータ・コアと呼ばれるメイン・コンピュータが通常複数搭載されている。それぞれに亜空間フィールド発生装置が取り付けられ、光速を超えての演算やデータ転送が可能なので、巨大なデータベース検索を難なくこなすのである。 この他にも艦内のあらゆる所に、コンピュータ・コアを補佐する役目のサブ・プロセッサーが搭載されているが、これは光速演算は出来ない。 それぞれのコンピュータ・コアとサブ・プロセッサーは ODN(Optical Data Network = 光ファイバー網)で相互に接続されている。 ソフトウェアメイン・コンピューターとのインターフェースを実現しているのが、LCARS ソフトウェアである。 LCARS ソフトウェアはキーボード入力、ボイス・コマンド(音声での命令)機能、人工知能ルーティーンや視覚表示システムなどを備えている。 事実上、艦内の全てのコンソールや端末はメインコンピュータ・コアに ODN で接続されている。 アクティブなコンソールパネルは即座に反応出来るよう、30 ミリ秒間隔で常に LCARS ネットに監視、それらは圧縮されたデータストリームとして出力され 42 ナノ秒毎に表示は更新されている。 もちろん、PADD(Personal Access Display Device)やトリコーダーにもLCARSソフトウェアが搭載されており、メイン・コンピュータとのデータリンク自体は、単純な RF(ラジオ周波数)信号を使っている。 ただし、現在の無線通信とは比べ物にならないほど転送スピードは早い事だろう。 コンソール&ディスプレイコンソールやディスプレイは、操作効率と使いやすさの向上のために絶えずコンピュータがユーザーのパネル操作状況をモニターし、現在、最も起こり得る操作のメニューをユーザーに提供している。 また、その特定状態下で最も多く選ばれるパターンに合うように絶えずレイアウトを更新している。 表示の配置はユーザーが自由にカスタマイズする事も可能であるが、使った後は後任の為にもキチンと標準レイアウトに戻しておかないといけないようだ。(DS9第4シーズン第80話「ディファイアントの危機」) また、“触覚接続”というのも可能で、目の不自由な者でもコンソールの操作は難なく出来る。 ここら辺はさすが惑星連邦のシステムだと思わせてくれるだろう。(VOY第4シーズン第76,77話「時空侵略戦争」) ここで確認しておかなければならないのは、LCARS というのは主に宇宙艦隊が採用しているコンピュータ・システムであり、24 世紀の民間(地球)ではこのシステムとは違ったものを使用しているということである。 以下に一つの例が見られる。 民間仕様ピカード艦長が地球のフランスにある兄ロベルトの家に行った時、コンピュータ・ターミナルの画面が表示されるシーンがある。 “アトランティス・プロジェクト” という太平洋に巨大な人工大陸を作る計画らしいが、そのコンピュータ画面上では LCARS とはあきらかに違う画面であった。(TNG第4シーズン第76話「戦士の休息」) 恐らくこれが一般家庭で使われている標準的なコンピュータだと思われる。 この時代のこういった家庭のコンピュータは、現在のパソコンとは違い、ただのネットワーク端末になっていると考えられる。 現在のコンピュータとは違って操作体系が非常にシンプルで誰もが使えて、ハングアップなどしない信頼のおけるすでに完成されたモノが広く使われている事だろう。 いずれにせよ “コンピュータを使う為の教室” などなくなっている事はまず間違いない。 操作に困ったらコンピュータに聞けばいいのだ。 LCARS と現在の PC との相違点LCARS と現在のパソコンと違うところは、作業中にハングアップしたりシステムが損傷して頻繁に OS の再インストールをしないでよいというのは当然の事として、ある程度の故障は自己診断にて故障を未然に防ぎ、自己修復機能で自動的に修復する事が出来るという素晴らしいシステムな点であろう。 現在の OS は、小刻みにバージョンアップしたり、後から後からサービスパックが提供されてバグフィックスされたりするが、それでも一向に安定しない。 OS は高いお金を出して買ったきちんとした “製品版” なのに、それをユーザーに使わせていくうちに修正を図るとは、それじゃあ “製品版” とは何かと言わざるを得ない。 また、LCARS は瞬時の立ち上げ、初期化(リセット)後の即時操作が可能である。 現在の OS は時代と共に内部が複雑になっていき、コンピュータのスイッチを入れてから操作可能になるまでかなりの時間待たされる。 これは立ち上げ時に、OS を含め各種設定をハードディスクから読み込むからである。 LCARS では現在のハードディスクの磁気ディスクのような機械的な記憶装置は一切使われてはなく、全て電子的・光学的な “記憶素子” である。 しかも、これは基本的に不揮発性メモリなので、電源を切ってもそれをそのままの状態にしておく事が出来る。 だから LCARS は “人間を待たせない” のだ。 これはパソコンの今使っているハードディスクの中身を取りだし、その容量と同じだけのコンピュータ・メモリに置き換えるというのを考えてみるとよい。 機械的部分が一切なくなり、完全に電子的に読み書きが出来るようになるので、機械的な磁気ディスクを使った現在のハードディスクより断然高速になる。(昔、MS-DOS という OS が使われていた時、似たような概念で “RAMディスク” というプログラムが使われていた。 実は Windows98 になっても “RAMドライブ” というプログラムが密かに用意されているが、あまり使っている人はいない) これだと、現在パソコン内部で使っているランダム・アクセス・メモリ(RAM)というのもなくなる。 RAM とハードディスクが融合し、単一のコンピュータ・メモリになるのだ。 (このようなシステムのコンピュータは現実に考えられている) さらに、LCARS に限らず未来のコンピュータのユーザーインターフェイスは、かなり優れている。 たとえ初めて出会った種族の初めて操作するコンピュータ端末でも、いとも簡単に操作して難なく作業を行っているからだ。 現在は OS が変わると操作体系も変わり、改めて操作法を習得しなければ満足に使う事が出来ないので、いかに今のコンピュータのユーザーインターフェイスが発展途上のモノなのかが判るだろう。 コンピュータの変移ここで LCARS に至るまでの(スタートレック世界での)コンピュータの移り変わりを記していきたい。 1986年サンフランシスコで、プラスティックを製造していたプレクシコープ社で Macintosh が使われていた。
この当時、Machintosh は最も進んだユーザーインターフェイスを持ったパーソナル・コンピュータということであった。(ST4: 「故郷への長い道」) 1996年地球のコンピュータはウィンドウズやマックOSに似たタイプのインターフェイスで、マウスオペレーションである。 スターリングのオフィスにあるコンピュータ。 この時代のコンピュータ革命は、CronowerX 社の経営最高責任者ヘンリー・スターリングが 29 世紀の技術を盗んだことによって起こっている事になっている。 あるいはひょっとしてビル・ゲイツも!? ちなみにヘンリー・スターリングのコンピュータから、ヴォイジャーは 2 進数変換を行って僅か数秒間で 3,000GB ものデータを取得している。 ここで、24 世紀のコンピュータ(LCARS)は 2 進数ではないという事が判る。(VOY第3シーズン第50,51話「29世紀からの警告」) 追記VOY 第 3 シーズン第 65 話「遠隔起源説」 で、ヴォイジャーに乗り込んだヴォス人がコンピュータを示して「単純なバイナリ―システムだ」 というセリフがある。 やははりLCARS も 2 進数?どっち? 2024年コンピュータはすでにネット端末として完成していて、ニュース等も含めてあらゆる事がネットで流されているのだろう。(DS9第3シーズン第57,58話「2024年暴動の夜」)
スタートレック史で、地球上から TV という娯楽が廃れる 16 年前である。(TNG第 1 シーズン第 26 話「突然の訪問者」) 2123年頃移住の為に 2123 年 11 月 27 日に地球のヨーロッパ連盟からファーカス星域へ赴いた SS マリポサ号には、ヨシミツ社製コンピュータが 225 台搭載されていた。 ただし、これはコンピュータを作っている一会社のモノであり、この時代のコンピュータ・システムとは関係ないと思われる。(TNG 第 2 シーズン第 42 話「新たなる息吹」) 2243年リチャード・ディストローム博士がデュオトロニクスという画期的なコンピュータ・システムを開発。 以後連邦の宇宙船はこのコンピュータを搭載するようになる。 U.S.S.エンタープライズ初航海の 2 年前の事である。
この時代のデュオトロニクス・コンピュータのユーザーインターフェイスは、タッチパネルではなく “メカニカル・スイッチ” である(すでに音声対話を実現している)。 2260年代デュオトロニクスを開発したリチャード・ディストロームは、マルチトロニクスというコンピュータ技術を開発するも、U.S.S.エンタープライズ上でテスト中に事故を起こし不採用になっている。(TOS第2シーズン第52話「恐怖のコンピューター M-5」) 2329年それまでのデュオトロニック・エンハンサーに代わり、アイソリニア・チップを使用するコンピュータが登場。 それまで 86 年もの間使われていたデュオトロニック・コンピュータにとって代わられる。(TNG 第 6 シーズン第 130 話「エンタープライズの面影」) カーデシアがベイジョーを併合した翌年の事である。
そうすると、U.S.S.エンタープライズと 2286 年に改装された U.S.S.エンタープライズ A、2294 年に処女航海に出た U.S.S.エンタープライズB までは 「デュオトロニック・コンピュータ」 が搭載されていて、2340 年に建造されて 2344 年に行方不明になった U.S.S.エンタープライズC はアイソリニア・チップを使用するコンピュータだという事になる。 B 型からそれまでの “メカニカル・スイッチ” から “タッチ・パネル” になっているのだが、A 型と B 型は同じ 「デュオトロニック・コンピュータ」 である。 おそらくコンピュータ・システムはそのままで、ユーザー・インターフェイスだけが “タッチ・パネル” 方式のモノに変更されたものと思われる。 面白いのは、アイソリニア・チップが実用化されて 11 年も経って建造された U.S.S.エンタープライズC にも、U.S.S.エンタープライズB とおなじユーザー・インターフェイスが使われているという点である。 これは逆にコンピュータ・システムを変更してユーザー・インターフェイス自体を変更しなかったという事なのであろうか。 2344 〜 2364年の間C 型エンタープライズからアイソリニア・チップが使われていると言っても、現在のユーザーインターフェイスとは色やレイアウトが違う。その事からも純粋なLCARSではないだろう。 U.S.S.エンタープライズC が行方不明になった 2344 年から、U.S.S.エンタープライズD が建造された 2364年 までの 20 年、 恐らくこの間に LCARS へ変更されたものと推測される。 パネル構造LCARS パネルの基本的な構造を見ていこう。 パネルは次の 3 つの基本層で構成されている。 最上層: ディスプレイ表面に化学的に結合されていたセンサー・マトリクスで、ユーザーのタッチ入力を感知する。 このマトリクスは表面をトライポリマー・コーティングされた 2.5mm 厚の透明アルミニウムウェハーで覆われている。 中間層: 3 軸クリスタル・ディスプレイ(Triaxial Crystal Display)で、グラフィック・インターフェイスを作成している。 1.8mm 間隔で配置されているモノクリスタル・ウェーブガイド(Monocrystal Waveguides)は、上層のセンサー・マトリクスにパワーを供給している。 最下層: ミクロ塗装されたポリデュラナイド(Polyduranide)シートで、オプティカル・ナノプロセッサー(Optical Nanoprocessors)が埋めこまれている。 このタッチ・パネルはユーザーのタッチ強度には左右されなく、軽く触れるだけで動作する。 したがって、ユーザーの意図しないタッチ(無意識にパネル上に手などを乗せた時)にも反応してしまうこともあり、そのような場合は誤動作が起こらないよう事前に “タッチ・ロック” をして十分注意しなければならない。 コンソール部(タッチ・ボタン類があるパネル)とディスプレイ部(コンソール直立して主にイメージや動画を表示するパネル)は、どちらとも上図の仕組みのパネルを使っており、どちら用とハードウェアとしての区別はない。 タッチ・ボタンは “メカニカル・スイッチ” のようにそこに始めから存在しているのではなく、あくまでもグラフィックとして表示しているので、必要とあらばコンソール部にレイアウトを変えてイメージを表示したり、逆にディスプレイ部全面をタッチ・ボタンで埋める事も可能である。 つまり、現在のコンピュータのように、画面表示は液晶 or ブラウン菅ディスプレイ、キー入力はキーボードというようにそれぞれの専用のハードウェアには分かれてはいなく、どちらも 上図 1 種類のパネルだけで事足りるという事である。 ※ 24 世紀ではコンピュータに入力する時にブラインド・タッチは必要ないし、アカデミーでも習わない。 ジェインウェイ艦長は 20 世紀の(彼女曰く)“石器時代のコンピュータ” のキータイプを最初は戸惑った。 操作している内に慣れるが、最後まで “人差し指 1 本打法” であった。(VOY第3シーズン第50,51話「29世紀からの警告」) ディスプレイLCARS 画面は現在の状況を判りやすいアニメーションで表示したり、簡略された図や的確に配置された図表を用い、閲覧者にとって必要な情報が一目で判明するよう表示される。 この表示はプレゼンテーションの時の為に、人間が事前に表示をプログラムする事も出来るが、ほとんどの場合はコンピュータ側が自動的にグラフィックを作成し表示する。 ディスプレイは大まかに “インフォメーション・ディスプレイ” と “トータル・ディスプレイ”というものに分けらる(LCARS デザインガイドの LCARS の画面を参照)。 インフォメーション・ディスプレイ右に示すのは、LCARS 画面で最もよく見られるレイアウトのインフォメーション・ディスプレイと呼ばれるモノで、全ての LCARS の基本画面である。 このディスプレイは “上部表示エリア” と “下部表示エリア” との 2 つのエリアに分けることができ、その比率は概ね 1:3 となっている。 上部表示エリアには、現在表示している情報がなんなのかが一目で判るよう一回り大きい文字でメイン・タイトルと数字の羅列が表示される。 下部表示エリアは、文字情報や簡略された図表やアニメーション、イメージ等の情報を表示するメインデータ表示部が表示される。 メインタイトルを補うようにサブタイトルが上下に表示される場合もある。 この数字の羅列は何を示しているのか、はたまたムダな動き・意味の無い事じゃないかと思うが、これは恐らくコンピュータ・メモリへのアクセス状況を示している一種のインディケーターではないかと推測される。 ※ 理屈はどうであれ画面中パラパラと動いているコレのおかげでよりカッコ良く見える。 昔から男というものは、意味なくチカチカしたりウネウネ動いたりするモノに惹かれるものなのだ!そうでしょ? トータル・ディスプレイ
このレイアウトは比較的デスクトップ端末で見られるものであり、対面通信やリストを一覧で表示したりする際に使われるようである。 上部と下部の LCARS バーに分かれており、上部の左端および右端にタイトルが表示され、時には下部バーにも補足タイトルが出る場合がある。 文字情報の表示部分を広く取れるのが特徴である。 LCARS 画面のフレーム部分はもちろんタッチ・ボタンになっており、これで表示されているデータを切り替えたり、表示されている項目等を選択する。 たとえ複雑なデータを表示していても、ボタン操作は最小限に抑えられているので、いかに LCARS のユーザーインターフェイスが洗練されているのかが判るだろう。 バージョンによる違いこれらディスプレイ画面はインターフェイス・バージョンが 1.0 のものである(インターフェイス・バージョンについては下のソフトウェア・バージョン比較で解説)。 ソラン博士のネクサス事件が起こった宇宙歴 48632 ごろから順次バージョン・アップされている。(ST: ジェネレーションズ) U.S.S.ディファイアントとランナバウト、それから宇宙歴 48632.4 時の改装されたエンタープライズ D はバージョン 2.0、U.S.S.エンタープライズE と U.S.S.ヴォイジャーはバージョン 2.5 である。 バージョン 1.0 と 2.0 のユーザーインターフェイスの大きな変更点は、上部表示エリアのメイン・タイトルの下に 4 つのタッチ・ボタンが追加されている事である。 このタッチ・ボタンはバージョン 1.0 の頃のエンタープライズ D のディスプレイには見られなかったものだ。 このタッチ・ボタンによりさらに情報へのアクセスが容易になり、ユーザビリティーが向上したと言えよう。 Wなお、宇宙艦隊では 3D ディスプレイより 2D ディスプレイの方が好まれて使われているようだ。 3D ディスプレイも数回登場(TNG 第 2 シーズン第 47 話 『限りなき戦い』 等)しただけで、それ以後は LCARS のディスプレイとしては用いられなくなった。 もちろん、これ以外にもディスプレイの描画スタイルにはいろいろなバリエーションが存在する。 LCARS ソフトウェアと性能U.S.S.ボイジャーの LCARS は 4,700 万のデータチャンネルに同時にアクセス可能で、画像変換は 1 ナノ・セカンドにつき 575 兆の処理能力があり、操作上の限界温度は 10〜1,790K(-263.15℃〜1516.85℃)となっている。(VOY第4シーズン第79話「宇宙を飛んだダビンチ」) これはヴォイジャーに搭載されている LCARS のスペックだが、その他の艦もソフトウェア及びハードウェアのアップグレードが随時行われるので、これはヴォイジャー建造時の宇宙艦隊の LCARS のほぼ標準的な性能だと考えて良いだろう。 操作上の限界温度で下限の - 263.6 ℃は水素の沸点 - 259.14 ℃、上限の 1,516.18 ℃は鉄の融点温度 1,530 ℃にそれぞれ近い。 現在コンピュータを含め一般的な家電製品はせいぜい 0 ℃ 〜 45 ℃(カタログ値)くらいだという事を考えると、LCARS の操作可能な温度範囲は脅威的である。 ちょっと一息※1 スタートレック(TNG以降)のセリフ中出てくる全ての単位はヤードポンド法ではない。 例えは速度の単位として KPH(キロメートル・パー・アワー(時速))というのを使ったり、メートル、キログラム、そして℃(温度)などだ。 何を今さらと思うかもしれないが、現在世界ではメートル法(SI単位系)に以降つつあるのに、アメリカは唯一ヤードポンド法を計量単位に使っている(2001年8月現在)。 もうヤードポンド法は使用禁止になっているのだ。 あれほどかたくなにインチ・ポンドを使い続けたイギリスさえもメートル法への移行が完了している。 日本でも天気予報において気圧の単位が “ミリバール” から “ヘクトパスカル” へと変わったのが記憶に新しいだろう(移行は 1992 年 12 月 01 日から)。 アメリカでも科学者などの一部ではメートル法を使用しているが、まだ一般への普及は進んでいなく、マイル(約1.6キロメートル)、フィート(約30.48cm)、インチ(約25.4mm)等々、TV の天気予報でも気温の単位として今だに華氏(9/5 + 32℃)を使っているのだ。 お隣のスイスやメキシコもメートル法であるのに、アメリカ合衆国は世界一の国だというおごりがあるのか変えようとしない。 まったく大国のエゴである。 単位を統一していないせいで、NASAは人工衛星を1機失うという世界に顔向けできない事も過去にやらかしている。→ http://www.hotwired.co.jp/news/news/Technology/story/3151.html そういった訳なので、アメリカの SF 作品(TV や映画や小説)においても普通にヤードやポンドがつかわれているが、現実にはこういった単位は将来はなくなるというのを考えると、まったくバカバカしく見えるというのは私だけではないだろう。 DS9第3シーズン第57,58 話「2024年暴動の夜」でシスコとベシアーが最初に連れてこられた保護区のセンター内に、壁に掛かっている電子カレンダーのようなモノがある。 それをシスコが見た時に"FRIDAY 8/30/24 15℃"と気温表示が摂氏で表示されていたのを見た時、さすがスタートレックだなと感心した。 ※2 パラマウント社では、宇宙船の設定上のサイズにフィート、インチを使っていたが、1998年から新設定のモノには、メートル、センチメートルを使用するようになった。 やっぱりエライ! ソフトウェア・バージョン比較連邦宇宙艦の LCARS インターフェイス・ソフトウェアは、時代と共にバージョンアップをしているようである。 以下に各艦に搭載されているソフトウェアのバージョンを比較する。 U.S.S. エンタープライズE:
U.S.S. ヴォイジャー:
U.S.S. ディファイアント:
U.S.S. エンタープライズD:
エンタープライズ D は一度大規模なソフトウェアのアップグレードを行った事があるが、それによって LCARS 1.1 になったのかもしれない。(TNG 第 1 シーズン第 15 話「盗まれたエンタープライズ」) 最新鋭の U.S.S.プロメテウスは、U.S.S. エンタープライズ E や U.S.S ヴォイジャーより LCARS ソフトウェアのバージョンが上がっている可能性がある。(VOY第4シーズン第81話「プロメテウスの灯を求めて」) 記憶容量24 世紀のコンピュータ・データの記憶容量・転送スピードの単位として“クワッド(もしくはクワド)(Quad)”が用いられる。 現在のコンピュータは 1 キロバイト= 1,024 バイト、1 メガバイト= 1,024 キロバイトという風になるが、クワッドが同じように 1 キロクワド = 1,024 クワド、1 メガ= 1,024 キロクワドのような体系になっているのかは不明(1,000 単位なのかどうかということ)。 通常はキロクワドから使われる。 VOY 以降ではさらに扱うデータ量が増大し、1 テラクワドという単位まで登場するようになった。 この単位はスタートレック世界のコンピュータのデータ容量を、現在の言葉で表現するのを避ける為に作られた。 いま現在のコンピュータの記憶容量の増加のスピードを考えると、何バイトという単語を使うと数年でバカげて見えるようになり、後に一気に時代遅れ化するのを恐れてという事なのだが、その判断は正解だったようだ。 2007 年現在 1TB(テラバイト)のハードディスクが市場に登場してきている。 ということで、1 クワドが現在の単位に当てはめるとどの位になるのか公式な設定はなされていない。 かつては 1 キロクワドが 1 x 2^60 バイト(約 10 億ギガバイト)という推測も存在した。 ただし、ここで非常に有用な情報がある。 データ少佐の最大記憶容量は 800 x 10^ 15 ビットというのが明らかになっている(TNG 第 2 シーズン第 35 話「人間の条件」)。 この 10^15 ビットというのは英語では quadrillion bit と表記する。 そうなのだ。この頭文字を取って quad という単位が生まれたする説が有力である。 とすると、データ少佐の記憶容量を言い換えると 800 クワドとなり、これは約 100 ペタバイト(100 PB = 1 億 GB)に相当することになる。 ここから現在のコンピュータの記憶容量の単位に変換すると 1 クワド = 約 125 テラバイト(125 TB)ということになる。 記憶容量の比較以下に各宇宙艦のコンピュータのデータ転送速度・搭載コンピュータ・モジュール数・記憶容量を比較する。 U.S.S. エンタープライズ E:
U.S.S. ヴォイジャー:
U.S.S. ディファイアント:
U.S.S. エンタープライズ D:
TNG ではバイナー星人が自分達の星のマスターコンピュータのデータを全てエンタープライズに退避させるが、その時に艦の 1 つのコンピュータ・コアの記憶容量を使い切っているので、ほぼ 630,000 キロクワド分のデータ量だったと思われる。(TNG 第 1 シーズン第 15 話「盗まれたエンタープライズ」) 転送時の 1 人当たりのデータ量は数十億キロクワドである。(TNG 第 6 シーズン第 128 話「プラズマ放電の謎」) ディープ・スペース・ナインの全システムのコンピュータの全メモリを消去してようやく 5 人分の転送バッファーのパターンを保存したことから、ステーションのコンピュータの記憶容量は約数百億キロクワドであると推測される。(DS9第4シーズン第82話「ドクター・ノア」) TNG データ少佐の最大記憶容量は 800×10^15 ビットである。(TNG 第 2 シーズン第 35 話「人間の条件」) ファイルの容量について単なるテキストファイルより音声ファイルの方がはるかに巨大になり、ファイルサイズやダウンロードサイズ節約の為に圧縮などをして苦労するというのを現在の我々でも知っている。 それなのに毎日記入が行われている艦長の恒星日誌、士官の個人日誌のほとんどが音声での記録である。 この時代でも当然ファイルは圧縮されて保存されると思うが、結晶などの分子・原子の配列を操作して、それこそ無限の情報を保存できるメモリが存在する時代では、音声・動画ファイルだからといって、もはやサイズを気にしなくてもいいのだ。 よって、この時代の 1 人当たりの “コンピュータ・メモリ消費量” は、今とは比べ物にならないほど膨大なものであろう。 VOY になると TNG よりも頻繁にクワドという単語がセリフ中に登場するようになった。 不思議なのはヴォイジャーは、デルタ宇宙域でたった一隻で情報を日々収集していて、他にバックアップしようがないハズなのだが、記憶容量が情報でパンクするというような事がない。 スペックの上ではエンタープライズD の記憶容量よりずいぶん少ないが、これは必要にかられて後にメモリを拡張し、エンタープライズ D よりはるかに容量を増大させているものと考えられる。 もしくは VOY 時代では “クワド” の単位定義自体が変更されたのであろうか。 データの入出力比較以下に U.S.S.ヴォイジャーの主なデータ入出力履歴をサイズの小さい順から上げてみる。
ホロドクターのプログラムは 5,000 万ギガクワド以上もある。(VOY 第 2 シーズン第 35 話「ドクターの恋」) 恐らくこれは U.S.S.ヴォイジャー内の単一プログラムファイルとしては最大のものだろう。 デルタ宇宙域に飛ばされる前にもすでに初期状態として連邦のあらゆるデータベースが、コンピュータ・メモリに大量に収められていたはずなので、その容量と合わせてさらにこれだけのデータを記憶しているヴォイジャーがいかに巨大かが良く判る。 恐らく連邦宇宙艦のコンピュータのメモリには、既知の情報はいちいち問い合わせなくてもいいように、艦単独で惑星連邦博物館が出来る位あらゆる種族のあらゆる細かい情報が過去・現在問わずに多岐に渡って記録されていると考えられる。 連邦宇宙艦は一度任務に出ると何ヶ月も戻らないで、本部との通信もままならないような僻地に赴く事を考えるとそれもうなずける。 情報量エピソード中の以下の例を見れば、まさにコンピュータに記憶されていない情報は存在しないというのがわかるだろう。
情報は一度記憶したら、いつかは不用になって消さなければならない時が来るかもしれない。 しかし、24世紀のコンピュータに一旦保存された情報は、消去してもその消去した痕跡、改竄したらその改竄情報自体まで記録される。 よって、一度コンピュータに保存したファイルを完全にこの世から抹消する事は、かなりの技術者ではないと不可能に近い事である。(DS9第2シーズン第42話「義務と友情」、DS9第2シーズン第44話「密告者」) 記憶素子データ記憶装置として忘れてはならないのがアイソリニア・オプティカル・チップだろう。 宇宙艦隊のコンピュータはこれがないと機能する事が出来なく、コンピュータ・コアから PADD にまで、中容量のコンピュータ・データやソフトウェアを記憶するデバイスとしてどこにでも使われている。(TNG 第 1 シーズン第 1 話「未知への飛翔」) もっとも一般的な 25mm × 80mm × 1.5mm サイズのモノは記憶容量 2.15 キロクワドで、これ自体にナノプロセッサーが組み込まれており、LCARS のコントロールから独立しててもデータ検索の管理が出来る。 つまりこのチップはデータを記憶する単純な記憶デバイスではなく、これ自体がミニ・コンピュータなのである。 ただし、このチップは亜空間動作するコンピュータ・コアにインストールされた時に 335 パーセントの効率になり、光速より早く動作するようになり本来の力を発揮する。 このチップはかなり強度があるので、ポケットやバッグに入れて持ち運ぶ事が出来るが、ラックに取り付ける時は上部にあるチップの機能・ロケーションが書いてあるラベル部分を持って、気をつけて行わなければならない。 VOY 以降、このアイソリニア・チップからバイオ神経回路に置き換わってきている。 オプティカル・システムより早く演算が出来るのが特徴だが、ウィルスなどの病原体に弱いのが難点である。(VOY第1シーズン第16話「バイオ神経回路」) ※ トリコーダーは 6.91 キロクワド、PADD は 4.3 キロクワドの記憶容量がある。 TNG の放送が始まった 1987 年当時の現実の世界のコンピュータのハードディスクの容量はたかだか数メガバイトだったが、今思えばそれがバカバカしく感じるほど昨今はハードディスクの記憶容量は年々増えている。 今は巨大だと思うこのスタートレックの世界の記憶容量も、近い将来追いつき追い越す事が出来ないなどと誰が言えよう。 ボイス・コマンドスタートレックを見て、まずコンピュータに命令するシーンに驚愕するというのに誰も反論はないところだろう。 なにしろキーボードもマウスも必要無く、普通に人間と話すようにしてコンピュータに命令出来るのだから、普段コンピュータ操作に四苦八苦している者にとってはまさに衝撃的シーンである。 ハロー、コンピュータ! スコッティーは音声認識コンピュータだと思い、マウスに向って話しかけている。(ST4: 「故郷への長い道」)いかに 23、24 世紀のコンピュータでは、音声での命令が一般的なのかが判るだろう。 音声認識部分は今現在のものを究極まで進化させたもので、例えばコンピュータへの命令は以下のように行う(その他のコンピュータとの対話サウンドは、このサイト内の NGUI TNG、NGUI DS9、NGUI VOY の各ページを参照の事)。
聞けば判る通り、これは音声認識というよりは会話認識とでもいうべきもので、音声によってある事を指示するとその音声を認識するのはもちろん、人工知能によって指示の内容自体を認識し適切な動作を行い、また時にはコンピュータ側から今指示した内容についての問い合わせもあるという凄いシロモノである。 この会話認識というのが重要な事で、人間の命令した一つ一つの音声をただ単語として理解する音声認識では、コンピュータが真に言葉を理解するようになったとは到底言えない。 それはまさしくただ単に “音声” を “認識” しただけであって、我々が人間を相手とした時に話すかなりあいまいな “意味” を “理解” していないからだ。 LCARS は見ているとさりげなく使っているようだが、実はかなりの技術が込められているのである。 以下、LCARS の音声入力ソフトウェアと現在の音声入力ソフトウェアとの比較する。 LCARS と現在の音声入力ソフトウェアとの違い 1当然の事ながら話者特定では無い。 現在、話す人の声をあらかじめ登録しておいて、それによって認識力を高めるような “音声認識ソフト” があるが、それだと登録していない人間だと極端に認識率が落ちる。 スタートレックの世界では、たとえ異種族のコンピュータでも音声で普通に命令出来るのである。 LCARS と現在の音声入力ソフトウェアとの違い 2音声入力の為にまぬけなマイクなど必要としない。 現在はほとんどの音声認識ソフトウェアではマイクは必須だ。これは周囲の雑音を極力排除し、なるべく話者だけの音声を拾って認識しやすくする為の措置だが、これだとマイクからちょっとでも離れてしまうと認識力はガタ落ちになってしまう。 背景雑音か人間の声かはまったく認識できないのである。 このマイクを使わないと音声入力が出来ないというのは致命的である。 わざわざマイクのある所まで行って音声入力を開始しないといけなかったり、口元とマイクとが1cmでもずれると認識率に影響を与えてしまうような代物ではとても実用的だとは言えない。 LCARS は音声入力時にマイクなど必要ないし、多少の騒がしい場所でも人間がそうするように話者に注目して、背景雑音と人間の声をきちんと区別し認識する事が可能である。 さらに、コンピュータに呼びかける時の「コンピュータ!」と、会話の中で出てくる普通の「コンピュータ」という単語を区別しているのも人工知能のなせる技だろう。 考えてみて欲しい。 もしスタートレックでコンピュータに命令する時に、わざわざコンピュータ端末の前まで来て、スタンドマイクに向って命令している姿を・・・。 とてもスマートとは言えまい。 第一、現在の PC 上の音声認識ソフトウェアは、キーボードに代わって文章を入力する為のモノであって、元々コンピュータ操作をするという設計ではない。 現在の音声認識ソフトウェアは 90 %以上、ややもすると 95 %を越える認識率があると宣伝されていて、文章を入力する場合は確かにその位はある。 ちょっとでもくだけた調子にすると誤認識だらけにはなるが、結構 “使える” モノでもある。 しかし、コンピュータ操作を音声でやるのは別である。 こういったソフトウェアには、音声でマウスカーソルを 「右」 とか 「左」 とか発声し移動させて、コンピュータの操作を行う事が出来るというのがある。 しかし、やはりマウスは手で動かした方が断然早いので、結果一部の人達を除いて誰も使っていない。 “お遊び” の域を出ていないのだ。 現在の OS はマウスでの操作を基本としているから、どうしてもマウスを介さないと一切の操作が出来ない。マウス操作を声で指示しそれでコンピュータを操作するのではなく、コンピュータ操作自体を声で指示出来るようにならなければいけないのだ。 例えば、現在の音声入力ソフトを使って、検索サイト○○○に行って、×××という言葉で検索を掛ける場合は次のようにやらなければならない。 「音声入力開始」 → 「スタート(ボタン)」 → 「プログラム」 → 「インターネット・エクスプローラーを起動」 → 「お気に入り」 → 「○○○を開く」 → 目的のウェブサイトへ到着 → テキストボックスに移動させて → 「×××」 → 「検索(ボタン)」 → 検索されたページを表示 このようにマウスで行う事をそのまま声でやろうとするから非常に煩雑になるのである。 これを 「○○○で×××という言葉を検索」 と 1 発で音声入力出来た方が、人間としてはるかに自然だというのは誰もが思う事であろう。 さらに 「ただし、△△△という単語は除いて、上位 10 サイトをピックアップ。 それから、一度行った所は除外して」 とまで出来るようになるともう言う事はない。 コンピュータを全く知らない人や障害者にとっても今より断然使えるコンピュータになるのは間違いないハズだ。 また、ファイルを検索する時にこそ会話認識コンピュータの力が発揮される時である。 たとえば、この前スキャンした画像はどこに保存したか忘れたとする。その時に、「この前スキャンした画像を表示せよ」と音声で命令すると、コンピュータはだいたい 2,3 日前のスキャンした画像を検索して画面に表示する。このほうが 「え〜っと、この前スキャンした画像はどこに保存したっけな・・・」などとエクスプローラで探し回ったり、ファイル検索ダイアログで検索しようと思っても、そのファイル名自体を忘れているので探せない、などという本末転倒な事がなくなる。 ファイル名をキーボードで入力するより、人間の考えるコンピュータでのファイル検索の概念にずっと近付くのだ。 LCARS と現在の音声入力ソフトウェアとの違い 3時にはコンピュータ側から今指示した内容についての問い合わせもあるのだが、その問いかけは人間が今命令したモノを補って、その命令がコンピュータにとってより明確になるよう的確なものである。 つまり、人間がかなりあいまいな音声命令をしても “認識不能” とはならずにコンピュータは現在の状況を的確に判断して、人間と対話しながら目的を続行出来るようもっていくことが可能である。 人間というものはかなりあいまいで、いざコンピュータに向って音声で入力する時には途中考えながら言葉を継ぎ継ぎ話したり、どうやって命令したら良いのか自体が分らない時もあるというのが普通だと思うのだが、LCARS だと対話していきお互いに補い合っている内に目的を達する事が出来るのである。 以上 3 つの事から言える事は、 “もう人間側がコンピュータの都合に合わせる必要は無い” という事である。 マウスをメインとしなく、人工知能付きの会話認識機能が OS 自体に組み込まれないと、これらを実現するのはかなり難しいだろう。 つまり、現在の音声認識ソフトウェアは単語を認識するという部分では、“ほぼ” というより “すでに” 完成しており、OS 上のソフトウェアという今の形態をとっている限り、いつまで経っても LCARS のようにはならないと言う事である。 しかし、いくら LCARS がほとんどの操作を音声入力で可能だとはいえ、操作速度の向上や万が一の誤認識の減少のために、キーボード入力も併用されている。 決まりきった操作には、音声入力より昔ながらのキー入力の方がやはり断然速い。 もしも現実のコンピュータが音声入力が一般的になっても、キーボードだけは将来に渡って使われていく事は間違いない。 ※ カウンセラー・トロイが自室のレプリケーターで、 “本物のチョコレート・サンデー” を注文しようとした時、『このソフトは栄養学的用語のみを理解するようプログラムされているので、コマンドの変更、あるいは特殊ソフトへの切り替えを指示して下さい』というコンピュータからの返答があり認識してくれなかった事がある。(TNG 第 3 シーズン第 56 話「非情なる駆け引き」) この事からもレプリケーター等の専用端末は、その用途で使われる言葉しか “最初は” 理解しないようになっているようだ。 ただ、その “コンピュータの提案” どおり、改めて言い直すか、ソフトウェアを切り替えれば “チョコレート・サンデー” は出てくるので全然問題無い。 現在のパソコンのユーザー放ったらかし意味不明エラー表示とは全然違うのだ。 コンピュータ・ボイスと認証音音声入力と同じように驚くのがコンピュータの音声応答である。 コンピュータ音声は現在の音声合成ソフトウェアの発する変なイントネーションで何とも気の抜ける声質とは違い、非常にクリアでまるで人間がしゃべっているような錯覚を起こすくらいである。 コンピュータ・ボイスコンピュータは種族によってそれぞれ個性があって声も違う。 オブライエンは DS9 のコンピュータに不具合が出た時、「エンタープライズのコンピュータとはワルツを踊るよう」で、DS9 のコンピュータは「レスリングをするようだ」と表現した。(DS9第1シーズン第17話「機械じかけの命」) 何にせよ現在のトチ狂ったイントネーションで喋られるよりずっとマシである。 ※ 日本語吹き替え版において、コンピュータ・ボイスはコロコロとよく変わるが、オリジナルはTOS,TNG,DS9,VOYと一貫して“メイジェル・バレット”である。 日本語吹き替えでも統一して欲しいモノである。 ところで、現在は惑星連邦宇宙艦隊のコンピュータ・ボイスは女性だと認識しているが、実はTNG の初期には男性の声も使われていた。(TNG 第 1 シーズン第 15 話「盗まれたエンタープライズ」、TNG 第 2 シーズン第 36 話「運命の少女サリア」、TNG 第 2 シーズン第 35 話「人間の条件」) 男性のコンピュータ・ボイスの例。(MP3 形式 27秒 58KB) しかし、警告や命令の応答に太い男性の声で喋られるより、女性の柔らかい方がやっぱり良いと製作者側も思ったのか、第 3 シーズン以降 LCARS に限っては女性の声となっている。 ※ 現在、アメリカ軍の F-16(F/A-18 も?) 戦闘機は、パイロットにコンピュータ音声で警告を知らせるという機能があり、これも女性の声なんだそうである。 これは男性より女性の声の方がパイロットの反応速度が数十パーセント上昇したという実験結果が出たからだとか。 認証音LCARS(を含めてスタートレックに登場するコンピュータ)は、呼びかけた時や何らかの反応を起こす時には認証音が鳴る。 たとえば U.S.S.エンタープライズD の場合は次のようにである(音の表現はあくまでも著者の主観である。笑わないで欲しい)。 等々・・・ この認証音はスタートレック独特のモノで、これがあるからスタートレックのコンピュータだと言えよう。 少なくともスタートレックを見るまでは 「コンピュータ!」 と呼びかけて認証音が鳴り、それから音声入力して確認された事を示す認証音が鳴るという、この独特のコンピュータ運用をする SF ドラマなり映画を見る事はなかった。 TNG を初めて見た者がコンピュータのコレを聞いた時、目からウロコが落ちる思いをする事はまず間違いない。 この認証音は状況により微妙に違う音色で様々なバリエーションがあり、またその種族によっても音が違うので、非常に耳に心地よくて聞いている者を飽きさせない。 まるでそれ自体がしゃべっているようで、コンピュータが生き生きと処理しているよう感じさせてくれる。 「コンピュータ!」 と最初に呼びかけるというのは、話者に注意を向けさせて音声入力に備えさせるという点から言っても大変理にかなっている。 コンピュータは常に人間がしゃべっている言葉を聞いてムダな処理している必要はなく、呼びかけによって始めて音声入力部分の“スイッチ”が入り、処理を行うようにした方がプロセッサ処理資源の節約にもなるので実用的である。 LCARS トリビア番組が始まってまだ試行錯誤の段階だった TNG 初期の LCARS に関するどうでもいい話。
VOY も後半ではデルタフライヤーなどで液晶ディスプレイが使われていたり、ENT なるともう液晶ディスプレイだらけになっていたりする。 もちろん身の回りでも液晶ディスプレイだらけだ。 これらを見ると、スタートレックで未来のディスプレイとして夢見ていた薄型の表示装置が、この 10 数年でごく一般的なモノになっているので、知らず知らずのうちに「未来は現在」になっているんだなぁというのをしみじみと感じる。 最後に... LCARS は遅れてる?LCARS はその他の SF 作品に登場する感情を持ったコンピュータ、たとえば『2001年宇宙の旅』に登場した “HAL9000” のような感情のあるコンピュータと比較すると、技術的に遅れているという指摘をされることがある。 しかし、これは間違っている。 それはなぜか。 簡単に言えば “必要ない” からである。 LCARS の本分はデータ検索だ。 データ検索とは以下のように、
目的の情報が見付からない場合は絞り込む為に 1. に戻るというのを繰り返すのである。 この動作に “感情” の入り込む余地はまったくない。 LCARS はあえて “感情” というのを取り込まなかっただけだ。 命令とは 「上位の者が下位の者に言いつける事」 である。 コンピュータは本来目的を達する為のツールであり、人間と対等にしてはいけない。 感情に左右されていつまでも目的の情報に辿りつけなかったり、命令に感情を挟まれて艦の維持管理が妨げられるコンピュータは信頼がおけなく実用的とはとても言えないだろう。 スタートレックに登場するコンピュータは、完全に道具として使われており、決して前面に出てくる事はなく縁の下の力持ち的存在だ。 これが本来のコンピュータとしての姿であり役割である。 よって感情を持ったコンピュータと持っていないコンピュータとどちらがより現実的かと問われたら、持っていないコンピュータの方だと答えるしかない。 将来、ホビーユースなどでは感情を持ったコンピュータが本当に登場するかもしれない。 しかし、宇宙船の重要なシステムを握った “HAL9000” のように感情を持ったコンピュータが、宇宙船に限らず人命に関わるような基幹システムとして採用される事はまずないと思う。 |
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